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毛利衛宇宙飛行士の宇宙旅行についての記事

「一回は経験したい」

日本、米国、中国が中心となって開催されたISCOPS(環太平洋国際宇宙会議) でロサンゼルスに来ています。二十一世紀は太平洋の時代と言われています。人 類の文明の繁栄が東から西へと進んできた方向からすると必然的かもしれませ ん。宇宙開発に対する意気込みにもその傾向がでてきています。

その内容は三国でそれぞれ違いますが、共通して言えることは、宇宙開発をい かに経済の活性化に貢献できるようなレベルに編成させ得るかということです。 通信や、放送衛星はもうその時代に達し、その分野の競争が熾烈(しれつ)にな っています。無重力を利用した宇宙実験分野は、新しい材料や、医薬品を製造す るのに役立つ見込みが大いにあるのですが、これだけでは、多くの企業の興味を 引きません。

実際、宇宙ステーションは、これを実証するための基礎研究をするのですが、 参加するどの国も予算を引き出すのに四著八著です。それは、一般の国民にとっ て、もうひとつまだ身近にその恩恵が感じられないからなのでしょう。

では、人が宇宙にいくことに関してはどうでしょうか。この会議でおもしろい 報告がありましたので紹介します。一般の人々が、どの程度宇宙へ言ってみたい かを統計的に調べたものです。

調査は日本、米国、カナダ、ドイツ、で行われました。どこの国でも、宇宙旅 行をしてみたいと希望している人が驚くほど多いのです。日本では六十歳以下の 七十%、四十歳以下では八十%もの人が、一生のうちで一回は宇宙に言ってみた いと思っているのです。

ではどの程度のお金ならば生きたいと思っているのでしょうか。ここでは日本 と他の国とでは顕著な差がでています。自分のもらう三ヶ月分の給料を使っても よいと思っている人は他の国では三十%程度なのに、日本では何と五十%もいま す。さらに、年収以上(三年分も含め)という人も十%もいるのです。

この統計で、同じような調査を独立に米国で行った人がコメントしていたの は、人種別に統計をとってみると、米国社会でも、日系アメリカ人がやはり他の 人種に比べてより多くお金を費やしても宇宙旅行をしたいとのことでした。

海外旅行と同じように、自分も経験してみたいという好奇心が、特に日本人文 化の特性と関係があるのかもしれません。

会議中に一九八九年にスペースシャトルから打ち上げられた惑星探査機「ガリ レオ」が木星に達しました。昨年、シューメーカーレビー彗星(すいせい)が衝 突して話題になった木星の大気が、今回の「ガリレオ」から放出された観測機の 突入によりさらに明らかになり、太陽系の起源の理解が深まるでしょう。

興味のある人にとっては、わくわくすることでも、関心のない人には無駄なお 金を使って、と思われるかもしれません。しかしこのような一見、一部の人の楽 しみと思われお努力の積み重ねで、現代の社会が作られてきました。そしてそこ で得られた知識や技術が間接的に映画、テレビ、音楽、スポーツなどに取り入れ られて多くの人々を楽しませてくれるのです。

宇宙ステーションは無重力を利用した研究を主な目的としていますが、大多数 の日本の人々が期待する宇宙観光を可能にする大きなステップと考えてもよいか もしれません。航空機のおかげで、観光の楽しみが増えたと同じように、新し い、宇宙への乗り物の開発は、現在の私たちの生活を活性化してくれます。

つくばの風
朝日新聞
平成8年12月17日

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