Global Warming Issues and Space Solar Power Generation
| 地球温暖化問題と宇宙太陽発電 | Global Warming Issues and Space Solar Power Generation |
| 〜SPS2000プロジェクトの推進に寄せて〜 | - On the Promotion of SPS 2000 Project - |
| 松岡 秀雄 | Hideo MATSUOKA |
| 東京大学先端科学技術研究センター科学技術産業相関分野 | Research Center for Advanced Science and Technology, The University of Tokyo |
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要旨 |
Abstract |
| COP3で示された地球温暖化問題解決へのアプローチは対症療法に過ぎず、この延長線上に広範な地球環境問題の本格的な解決はない。求められているのは、やはり問題解決への原因療法である。ここで注目されるべきが、大容量のクリーン・エネルギー源たる宇宙太陽発電である。しかし、この実用化には克服すべき課題がある。最大のものが電力価格であり、それを規定するのが、太陽発電衛星の地球軌道への打上げコストである。この高価格国「の民間活力による克服が既に、単段式再使用型往還機方式等を媒体に始まっている。世界で最初の宇宙太陽発電のパイロット・プラント実現を目指す我が国のSPS2000という先進導坑的な実験プロジェクトの推進を通して、マクロエンジニアリング外交による地球環境問題解決への方途が広く超領域的かつ先端技術による新産業の創出を媒介に議論され、産業経済の地動説経済化というコペルニクス的転回が演繹される。 | The approach shown at COP3 to the solution of global warming problems was just symptomatic treatment, by which the substantial solution of a wide range of global environmental issues would not be achieved. Casual treatment is still required for a complete solution. Space solar power generation as a large-capacity clean energy source is very promising in this respect, although there are some problems to be solved for its practical use. The most important one is the high price of electricity, which is mainly influenced by the launch cost for delivering solar power satellites to earth orbit. The destruction of the high price structure for launching has already begun with the development of various new SSTO RLV launch systems. The way to solve global environmental issues using macro-engineering diplomacy is discussed super-disciplinarily based on the creation of new industries with advanced technologies, through promoting the Japanese pilot plant project "SPS2000" intending the realization of the first practical space solar power generation system in the world. A "Copernican Change" of industrial economy to include space activities is also deducted. |
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キーワード |
Key Words |
| 地球温暖化、地球環境問題、宇宙太陽発電、太陽発電衛星、SPS2000、SPSリファレンス・システム、単段式再使用型往還機、マクロエンジニアリング外交、コペルニクス的転回 | Global Warming, Global Environmental Issues, Space Solar Power Generation, SPS, SPS2000, SPS Reference System, SSTO RLV, Macro-Engineering Diplomacy, Copernican Change |
昨年(1997年)12月上旬、京都で開催されたCOP3(地球温暖化防止枠組み条約第3回締約国会議)でも論糾したように、地球温暖化防止に向けた二酸化炭素の削減が、今や世界的にも大きな課題となっている。二酸化炭素の増大がもたらす地球規模的な影響を減少するため、これを各国が別々に対応すべき課題とし、各国に対して、とりわけ先進諸国に対し二酸化炭素の削減量を、しかも当面の対応として割り当て、その実行を対症療法的に迫ろうというものである。
要するに、地球規模的な課題に対して、各国の当面の対応の寄せ集めで、取り敢えず対応しようというのである。事案を分割・個別化し、そして個別対応の寄せ集めをもって、事案全体への対応としようというのである。この問題解決へのアプローチは、近代そのものである。このようなアプローチの方式決定やそのための準備に参加した人々全てが、科学的自然認識(近代的思考)にどっぷり漬かっていたからであろう。
しかしながら、そもそも地球環境問題、なかんづく地球温暖化問題が近代的思考の枠組みで対応・処理しきれる課題なのかどうかということはともかくとしても、必要となる二酸化炭素の削減が実現し、遂には地球温暖化が防止されるようになるまで、この方式がそのまま全世界に向かって継続・拡大していくという保証は実は何もないのである。
なぜなら地球温暖化問題は、地球酸性化問題やオゾン・ホール発生問題と同様に、いずれもが化学物質の環境への放出に伴って発生し、これが地球規模的な影響をもたらすに至ったものであるが、地球酸性化問題やオゾン・ホール発生問題と決定的に異なるのは、化学物質である二酸化炭素が環境に放出されないようにすれば、それで解決するという問題ではないからである。
なぜなら、歴史上世界各国に現れては消えていった、如何なる文明も、エネルギー消費が文明の存続・発展の要件であった。現代を規定する近代科学技術文明も例外ではない。近代文明の発展は化石燃料によるエネルギー消費の拡大に依拠している。御し易く使い勝手のよい化石燃料なしには、このような人口急増を可狽ニした近代文明の急進展(近代化)などあり得なかったであろう。
この化石燃料のエネルギー化が実は二酸化炭素を大気中に放出させ、これが地球温暖化を発生させているというのである。であれば原因は明確である。しかしこの問題への現在までの対応は、化石燃料を代替するという原因療法ではなく、化石燃料の消費を前提とした対症療法である。
確かに病気の場合、原因が判明しても、しなくても、対症療法により症状の緩和を続ければ、生命体のもつ自然治癒力により回復してしまうというものもある。地球温暖化問題では、近代化に伴う生活水準の向上や、人口増加によりさらに加速されるエネルギー需要増大に迫られる発展途上国の状況を考慮するだけでも、対症療法を続けることにより自然に回復することはあり得ない。
地球環境問題を規定するエネルギー問題は、今やエネルギー危機対応と環境危機対応との二つの課題を抱えている。だがCOP3では途上国の近代化に伴うエネルギー需要増大の問題がスポッと抜け落ちてしまっている。これからの全世界のエネルギー需要がどのように増大していくのか、いかざるを得ないのか。そしてそれにどのように対応していくのか という問題である。COP3における対応が対症療法と言われる所以である。
地球温暖化問題への対症療法としてではなく、エネルギー危機への対応も含め、地球環境問題の本格的解決を目指す原因療法として浮上しているのが「太陽光発電」である。地球環境問題の顕在化とともにクリーン・エネルギーの旗手として注目されてきた太陽光発電には、太陽電池を小規模には各家庭の屋根に、大規模には砂漠などの広大な未利用地に並べるなどして太陽光エネルギーを捕捉し、電力として供給する地上太陽発電が知られており、急速に普及することが期待されている。
しかし地上では太陽光を24時間連続して利用することが原理的に不可狽ネため、どうしても設備稼働率が低くなり、太陽発電コストの低減に限界が生じてしまう。この機箔Iかつ経済的な問題を打開すべく、地球軌道に打上げられた人工衛星(太陽発電衛星=SPS)に取り付けられている巨大な太陽電池で太陽光エネルギーを捕捉して電力に変換し、これをSPSの送電アンテナ(スペーステナ)からマイクロ波として送電し、電力消費地の近くの地上の受電アンテナ(レクテナ)で受電し、電力として供給するのが、宇宙太陽発電である。SPSが静止軌道上にあれば、地上太陽発電とは異なり、レクテナは昼夜の別なく24時間、又天候に関わりなく、運輸用や産業用に向け大容量の電力を供給することも可狽ノなる。
宇宙太陽発電は当然に、資源の枯渇や環境負荷の増大といった困難な問題を抱えている化石燃料や原子力燃料による現行の電力供給とは異なり、太陽が存在する限りクリーン・エネルギー源として存続し得る可柏ォを持っている。先端技術の導入により問題解決を図ろうという宇宙太陽発電のそもそもの国zが打ち出されたのは、1968年のアメリカである。これを提案したピーター・グレーザーは、既に地球環境問題の将来的な発生を見据えていたが、この方式がにわかにクローズアップされ出したのは、74年に始まるオイル・ショックのときである。
このときには、宇宙太陽発電が宇宙開発の一環としてではなく、あくまでもエネルギー危機への対応として、アメリカのエネルギー省を中心に技術的側面のみならず社会的側面にも目を配り広範囲の研究が進められ、「SPS:概念形成と評価計画」と題する大規模な検討(フィージビリティ・スタディ)が行われたが、エネルギー危機の消滅とともに研究も中断してしまった。
この研究は、宇宙太陽発電に関する調査研究として、今でも関係者の間ではリファレンス・システムとして言及されているが、実は21世紀初頭のアメリカの全電力を宇宙太陽発電で賄おうという極めて大胆かつ野心的な技術開発を目指したものであったので、その巨大さゆえに中止せざるを得なくなったという事情もある。95年になって、後述する我が国のSPS2000の活動に触発されたためか、今後はNASAが中心となり、規模縮小したものの実現を目指す調査研究が改めて開始されたようである。宇宙エネルギーを廻るヘゲモニー争いのためか、国家的な意図が働いているのかもしれない。
上記の米国エネルギー省の研究は、大規模な組織で新しいシステムの概念の提案と環境・経済・社会まで含んだ評価方法を用いたのが特徴であった。反面、研究計画が終了した80年以来、この分野の研究には研究費が出なくなり、組織的研究はもとより、個人的な研究も低調になった。しかしながら、近年の地球環境問題の高まりの中で、SPSの概念が再評価されるようになり、研究者の会議が開かれるようになった。
86年には、第1回目のSPSに関する国際シンポジウム(Power from Space)がパリで開催され、SPSの穀z技術だけでなく、それに関連する地球エネルギー問題、環境問題、法律問題などの広範な分野で議論が行われた。91年に同じパリで開催された第2回目の同シンポジウム(SPS91)には第1回目より2倍以上の300名以上の研究者が参加した。(Wireless Power Transmission Conference)と共催で97年にモントリオールで開催され、国際協力による研究推進のためのアピールも出されている。
しかし、これらは最初に行われた米国の研究の影響を受け、国zの提案と「環境」「経済」「社会」的な評論というべきものが多い。ただ注目すべきは、いずれの会議も全てフランス電力業界の大御所であるルシアン・デシャンの肝煎りで開催されているということである。「電力の鬼」と呼ばれ、産業計画会議を領導した、あの松永安左ヱ門を思い出す。原子力発電の比率が80%を超えるとか言われるフランス電力業界の心意気、人類の将来へ向けたフィランソロフィーなのかもしれない。
我が国でも1980年に入り、米国のSPS国zに興味を持つ官・民の研究者により調査が開始された。これらの調査は文献調査が主であり、研究も米国の研究から派生したものにとどまっていたが、90年には地球環境問題への国の対応として「地球再生計画」が関係閣僚会議で取り上げられ、その中ではSPSは核融合発電とともに次世代エネルギーとして研究すべきものに上げられた。この計画は同年の先進7カ国会議(ヒューストン・サミット)でも提案され、政府レベルでの日本の対応は画期的なことと高く評価されている。
政府機関では、新エネルギー・産業技術総合開発機(NEDO)、工業技術院サンシャイン推進本部及び通産省機械情報産業局宇宙産業課が、学識経験者から成る「宇宙発電システム検討委員会」を設置して、91年度から93年度に地球再生計画のための文献調査等を行い、宇宙太陽発電の実用化に向けたフィージビリティ・スタディに必要な課題を明らかにした。学会活動としては、唯一日本マクロエンジニアリング学会が、宇宙の経済や大規模輸送に関する研究委員会の中で、技術者に限らず、現場の実務家(経済人等)の参加を得て、10年以上にわたり活発な議論を多角的に繰り返している。
87年3月、文部省宇宙科学研究所をセンターとして組織されたSPSワーキング・グループは、約80名の大学、国公立研究機関の理工学研究者が14のサブグループに分かれて、宇宙太陽発電を実現するための理工学的課題と、それが引き起こす環境への影響の解明のための研究を、本格的な研究に備えた提案という形で行って来た。その中で後述するSPS2000モデルに関する概念設計研究は、91年のSPS国際シンポジウム(SPS91)で論文賞を与えられた。
このような状況の中で、92年に我が国の観測ロケットを用いたマイクロ波電送実験が、唯一の宇宙実験として宇宙科学研究所、京都大学超高層電波研究センター及び神戸大学工学部により実施された。しかしこれは、マイクロ波と電離層との相互作用に関する研究としては成果を挙げたが、本格的な宇宙電力伝送実験としてはまだ規模が小さい。一方、宇宙太陽発電の研究を目指した、より現実的な宇宙基地等を利用したエネルギー実験計画も立てられたが、既存の宇宙計画をベースとした、これらの研究計画の理念は、現実には受け入れられていない。
94年には、実物の研究成果を盛り込んだSPS2000モデルの機薄ヘ型がフランスのレユニオン県で約半年間公開される等、国際的にも高い評価を受けた。95年には国際無線送電会議(Wireless Power Transmission Conference)が日本で開催されたが、ここでは関西電力(株)と神戸大学工学部の協力により地上短距離ではあるが、マイクロ波伝送実験が公開された。これらが宇宙太陽発電を目指した世界でも数少ない実証的研究となっている。
95年末に開催された「世界銀行 日本・リサーチ・フェア」において東京大学先端科学技術研究センターにより開示されたように、宇宙太陽発電による電力の輸出はエネルギー輸入大国の日本をして輸出大国への道を歩ませる。それに加え途上国へのレクテナ・サイトの無償供与は、対症療法としてではあれ、日本に課せられる二酸化炭素の排出規制が、二酸化炭素の排出量を途上国のものと合算して評価するというジョイント・インプリメンテイション(共同実施)により大幅に緩和される余地を生む。これら先端技術を媒体としたマイクロエンジニアリング外交は日本の外交に裁量権の拡大をもたらすことになろう。
因みに96〜97年にかけて行われた宇宙太陽発電の環境影響評価に関する東京大学先端科学技術研究センターと慶応義塾大学産業研究所を軸との共同研究によれば、原子力発電を含む現在の日本の総発電量を宇宙太陽発電方式によるとした場合、排出する二酸化炭素の総量は、およそ30分の1になると試算されている。日本の電力生産1単位(1KwH)当たりの二酸化炭素排出量について、(財)電力中央研究所と慶應義塾大学産業研究所との共同研究により、石炭火力1225グラム、石油火力846グラム、LNG火力631グラム、原子力22グラムと算出され、これに今回算出された宇宙太陽発電の17グラムが、試算のベースになっている。
投入される熱エネルギーが電力エネルギーに変換される際に、熱効率に相当するものだけが変換され、残りは発電所周辺に捨てられる。熱効率50%前後の高効率を誇るLNGコンバインド・サイクル型火力発電所に対し、原子力発電所はせいぜい熱効率が33〜34%なので、例えば100万Kwの原子力発電所では、およそ2倍の200万Kwに相当する熱エネルギーが発電所周辺に捨てられることになる。
宇宙太陽発電では、レクテナ・サイトの効率(マイクロ波エネルギーの電力エネルギーへの変換効率)はこれまでのところ、80%前後なので、原子力発電所に比べれば、捨てられる熱エネルギーは7分の1以下である。因みに電力エネルギーも、生活や運輸、産業などのエネルギー源として機狽オた後、最終的には熱エネルギーとなって、電力消費地近傍の地球環境へ捨てられる。
一方SPSワーキング・グループでの研究が進展し、その概念が明確になるに従って、SPSは宇宙科学としてよりむしろ地球環境問題解決のためのエネルギー・システムとして、より広く人文社会の側面も含めて研究すべきであるとの認識が高まった。SPSワーキング・グループは本来科学衛星計画を立案するために組織されるものであり、エネルギー・システムとしての本格的な研究を行うには馴染まないため、SPSワーキング・グループは97年3月にひとまず解散した。そして新たにより広い分野からの研究者を糾合し、エネルギー・システムとして本格的な研究を行う枠組みとして、97年10月に任意の学術団体として太陽発電衛星研究会が代賦イ事を東京大学先端技術研究センターに置きスタートした。先端マクロエンジニアリングに出番が廻ってきたようである。
ところで、90年のヒューストン・サミットでの我が国の核融合発電と宇宙太陽発電に関する提案は、一種の国際公約というべきものであるが、元はと言えば、「地球再生計画」の一環をなす次世代を担う革新的エネルギー関連技術の開発として挙げられていたものである。92年にリオデジャネイロで開催された地球サミットでは、日本から参加したNGOが、宇宙太陽発電国zの具体的な形を示している。しかし宇宙太陽発電関連の研究開発費は、これまでに1兆円近くが投じられたという核融合発電に関する技術開発に比べれば、皆無に等しい。
宇宙太陽発電の技術開発研究がエネルギー大国アメリカで中断された後も引き続き進められ、僅かな研究費であっても、研究成果を着実に蓄積してきたのは、エネルギー小国の日本だけである。その研究の中心は、文部省宇宙科学研究所応用衛星工学系である。1982年以来毎年1回、宇宙太陽発電関連の研究者が日本全国から集まり、宇宙科学研究所・宇宙エネルギーシンポジウムが開催され、今年(1998年)でその第17回目を迎えた。今や宇宙太陽発電の実現は、我が国が先進国の責務として総力を挙げて、主導的に取り組むべき喫緊の課題である。これこそが、環境主義運動の成れの果てに現れる環境ファシズムを回避し、巨大に膨れ上がった地球人口を支える残された道でもあるからである。
全国の大学研究者等により世界で最初の宇宙太陽発電を実現すべく企画・立案されたという、我が国のSPS2000という実験プロジェクトでは、SPSが赤道上の低軌道を利用することから、これに関連する学術研究として、赤道諸国においてレクテナ・サイトの設置に係る環境・社会への影響の現地調査が、文部省科学研究費補助金(国際学術調査)の援助によりNGOとして進められている。
既に調査が開始されているタンザニア、パプア・ニューギニア、ブラジル、インドネシア、エクアドル、モルジブの発展途上の6カ国では、全てが宇宙太陽発電について重大な関心を示しており、これらの国において日本との共同実施が期待されている。今般さらに国際学術調査が再開することとなり、「エボラ出血熱」のガボン、「山火事大気汚染」のマレーシア、「発癌紫外線が一杯」のナウル/キリバス、そして「テロと麻薬」のコロンビアについても、同様の現地調査が1998〜99年度に行われることになった。こうなると、いかに公共の利益実現のためとは言え、たかが研究でも「命懸け」ということになる。
いずれ我が国から宇宙太陽電力を輸入することになる、これらの国々によるSPS2000赤道諸国連合(仮称)が、輸出国である我が国が勧進元になって、例えばアフリカはタンザニアが、アジアはマレーシア/インドネシアが、そして南アメリカはブラジルが幹事国となって形成され、地球環境問題の解決に向け、共同の利益を全体として追求していくことが期待される。
SPS2000赤道諸国連合は、いずれ近代化に伴うエネルギー需要増大がクリーン・エネルギーにより無償で確保でき、一方、我が国は「共同実施」により二酸化炭素発生率を減少できるようになるのである。これら途上国へのクリーン・エネルギー供給量を我が国の消費として算出することによる見かけの上のエネルギー消費増により、発生率の分子はそのままに、分母が増大でき、それにより発生率が減少できるのである。
さらに宇宙太陽発電の実用的普及は、関連機器の設置及び運用に各種技術基準等を要求するようになる。我が国は、SPS2000赤道諸国連合とともに、本格的な宇宙発電時代の到来に向け、グローバル・スタンダードへと進化するようなディファクト・スタンダードを創業者利益として確立する。そのためのSPS2000でもあるのだ。当然に他国からの宇宙発電事業への参入の道を開いておかねばならない。
地上各地でレクテナ・サイトが一旦会社資本として助ェに整備されると、それらへ向け当然に、宇宙からのマイクロ波を販売する宇宙電力業者が、石油会社が石油やLNGを火力発電所へ販売するように、続々と参入して来、かくして宇宙電力産業成立への道が開かれよう。どこで話を聞きつけたのか、中国やインド、フランス、そしてペイロード150トンの再使用型ロケット「エネルゲイヤ」で宇宙太陽発電を夢見た旧ソ連(ロシア)等の科学者からもSPS2000への参加希望が出されている。NASAもSPS2000の推移を見守っているところだ。
ところで、話題の「SPS2000とは何か」であるが、赤道上の発展途上諸国にある無電力状態の村々へ200〜300キロワット規模の電力を、赤道上高度1100キロの地球低軌道を周回するSPS(出力10メガワット)と地上受信レクテナ・サイトとで告ャされる宇宙太陽発電システムにより供給「途上国へ光を」というパイロット・システムを実現し、そしてその運用経験を蓄積するとともに、それに必要不可欠な技術的基盤を商業応用を前提に確立することを目的とする実験プロジェクトである。宇宙太陽発電実用化に先駈けである。
因みに電気事業連合会によれば、あのノーベル賞作家川端康成の「雪国」の舞台となった越後湯沢に電灯が最初に点ったのは、大正14年(1925年)8月のことで、全村の1割に当たる40戸に対し、30キロワットが用意されたという。全村であれば、300キロワットということになる。これに必要な電力は、その3年前に竣工した湯沢水力発電所(出力15.6メガワット)から供給されたという。
ところで、SPS2000の核をなすSPSそのものについては、宇宙環境で機狽キる高効率・低価格の太陽発電素子、大容量の電力増幅素子、ビームで制御されるマイクロ波送電用のアレイ・アンテナ、そしてこれらの基盤技術を前提に宇宙空間での太陽発電衛星の穀z等に係る各技術的基盤が確立され、又地上送電レクテナ・サイトについては、単にサイト設置に必要な技術的基盤の確立だけでなく、「社会の中の宇宙太陽発電」としてレクテナ運用にかかる社会的経済的な要件も明らかにされよう。
SPS2000に課せられた緊急性について言及すれば、必要となる技術基盤の確立に伴うSPS2000実現の目標年次は当初は文字通り2000年であった。宇宙太陽発電の実用化は、このSPS2000の運用経験の上に成立する。技術開発の完成は、とりわけ社会の中の技術としての宇宙太陽発電技術の完成は、技術的のみならず社会的経済的な運用経験の蓄積なしには不可狽セからである。
宇宙太陽発電実用化への技術開発に必要な期間は、この運用経験蓄積後10年を想定している。もしSPS2000の運用経験を蓄積し、宇宙太陽発電の実用化という原因療法を前提とした、あるいは原因療法に対する見通しを得た上での対症療法であれば、COP3での我が国の対応も、単なる議長国にとどまらず、将来に向けて問題解決への主導的・先導的役割を、より明確に演じることを可狽ノしたであろう。求められていたのは、マイクロエンジニアリング外交なのである。惜しまれてならない。
COP3の論議でも明らかなように、現在、緊急に解決しなければならない二酸化炭素排出問題について効果的な対策は、よく見ると、どこの国からも提案されていない。地上太陽発電等再生可狽ネエネルギーの利用の重要性は、広く認識されているが、大規模に実施するには経済的な問題が大き過ぎる。
SPS2000では技術的にブレークスルーすべき課題が実に明確であり、それが成功すれば大規模利用も可狽ニなり、二酸化炭素排出問題も一挙に解決されよう。それに期待される成果に対する研究資源の投入量は少ない。緊急に取り上げなければならない技術開発課題であるとする所以である。
研究の整合性ある発展の観点から見てみよう。宇宙太陽発電は重要であるが、立ち遅れており、その進展に特別の配慮を必要とする研究領域と言うべきである。例えばヒューストン・サミットで、いわば国際公約した革新的なエネルギー開発において、既に研究開発投資に1兆円近くが投じられ、それでも実用化時期が更新に継ぐ更新を経て、今や2050年となってしまっている核融合発電に比べれば、その進展に特別の配慮を要とすること、明白にして、かつ重大である。
そもそもどのような技術開発であれ、その開発期間は、10年以内というのが相当で、どんなに長くても15年であろう。開発完了時期未定の地震嵐m技術や開発に50年を要するという核融合発電技術などは、本来、技術開発の対象として設定されるべきものではない。せいぜい真理探究の段階にある科学研究というべきものである。
特にSPS2000の推進を媒介に宇宙太陽発電の実用化を推進するために必要不可欠であった文部省科学研究費補助金・重点領域研究の瑞ソが、94年から4年にわたり不採択に終わったことは、強く指摘されねばならない。日本のアカデミズムで無視され続けてきたSPS2000も、とうとう97年10月発行のMIT(マサチューセッツ工科大学)の「機関誌」であるテクノロジー・レビューで紹介されるに至った。
敢えて言えば、重点領域研究が不採択となった理由が、宇宙太陽発電関連の瑞ソに係る研究組織、あるいはその前提となった研究活動を規定する研究計画が採択するのに不適切であったというのであれば、それを判断した文部省学術審議会(科学研究費分科会企画部会)の主導の下で研究組織が直接編成され、研究活動を展開することも制度的には可狽ナあったが、それにもかかわらず、それさえも行われなかったのである。
地球環境問題、なかんずく地球温暖化問題の解決は、現代社会を生み出した近代科学技術文明の本質とも密接に関わっており、極めて困難なものであるが、その解決に対する社会的な要請もまたきわめて高いことは、ここで改めて指摘するまでもない。アカデミズムに課せられた社会的責任もまた重大である。
ところで、SPSの穀z資材を高度1100キロの地球低軌道に打上げる宇宙輸送システムに係る技術的基盤の確立も、現実には宇宙太陽発電の実用化には不可欠な課題であるが、これはSPS2000には含められていない。打ち上げ技術が、打ち上げコストの低減に向け現在劇的な変換期を迎えており、SPS2000に係るSPSの穀z資材200トンの打ち上げは、事態の推移の中で最も低価格のものを選択すればよいという状況が開けつつあるからである。
現段階で穀zされている打ち上げロケット機は、ロシア製のプロトンである。ペイロードが12トンなので、必要な穀z資材は、20回にわたって打上げられることになる。打ち上げが1基30億円として、総打ち上げ費用には、およそ600億円が見込まれる。SPS本体については、200〜300億円が嵐閧ウれている。
打ち上げをアマゾン河口の南にあるブラジルはサンルイスの近郊にあり、文部省科学研究費補助金(国際学術調査)による現地調査でレクテナ・サイトの候補地としても嵐閧ウれている広大なアルカンタラ宇宙基地(600平方キロ)で行うとすれば、そこは赤道近傍なので、ペイロードの増加が可狽ニなり、それだけ打ち上げ回数を減少できる。外国製のロケット機を外国で打上げることにすれば、打ち上げが我が国の宇宙開発行政とは独立になるというメリットある。
宇宙太陽発電については、全てがコスト意識が乏しい宇宙開発の一環ではなく、コスト意識に鋭敏な新エネルギー開発の一環でなければならない。因みにESA製のアリアン5を使うことにすれば、ペイロードが14トンなので、15回の打ち上げが必要となり、打ち上げが一基200億円として、総打ち上げ費用は3000億円となる。
「社会の中の宇宙太陽発電」であれば当然に、質・量のあらゆる面で他の方式の電力供給システムと電力市場で競合することになる。宇宙太陽発電が克服すべき最大の課題は何かといえば、電力価格である。
極めて大雑把ではあるが、水力や火力、原子力などの主要電力の「工場出荷価格」に相当する価格が1kwH当たり10円前後であるとすれば、既存の技術で穀zするとされた宇宙太陽発電では100倍の1000円前後になるという。無尽蔵とか、環境に優しいとか言われても、これでは話にならない。ミッション・インポシィブルだ。
そもそもこの高価格は何に起因しているのかといえば、SPSや地上レクテナ・サイト等の問題ではなく、SPSの穀z資材を所定の位置へ運搬する宇宙輸送費用に原因がある。宇宙輸送価格は100分の1にする必要があるが、果たして可狽ネのかどうか。因みに、半導体トランジスタの製造価格は、製造技術革新と量産効果とにより、数100万分の一になっている。
ところで、宇宙輸送が高値安定なのは、それに耐えられる附加価値の高い情報産業を除き、専ら排他独占的な「官需」に依拠存しているからで、ここでも軍需産業と同様の価格決定のメカニズムが機狽オている。少ない需要と高価格、これで価格が低下したら、直ちに事業規模が縮小してしまう。
これでは供給側の宇宙産業に価格低減の動機など発生しないし、需要側の政府なども価格低下を求めて宇宙産業が成立しなくなるようにはできない。今や宇宙産業は「失業対策事業」同然のケインズ型公共投資なのである。NASAでも事情は同様であり、知事や国会議員等の要請に対応したテキサスやカリフォルニアの失業対策事業なのである。
こんな話を聞くと、例の郵政三事業の民営化の話が思い出される。いずれも官主導が限度を超えて長く続くから、非効率になってしまうのである。あの官営八幡製鉄所も民営化の歴史に一頁を加えている。確かに「明治の元勲」と呼ばれる人達は立派だった。
注目すべきは、このような事態について、民間企業出身のNASA長官ゴールディンは「これは何とかしなくては」と否定的にとらえているようであるが、何故か郵政省のトップは強気である。アメリカと日本とはこんなにも違うのだ。「クロネコヤマトの宅急便」のように、日本航空や全日本空輸のような民間の輸送会社が宇宙輸送を引き受けられるようになれば、この国「は解消する。
過去に目をやれば、1960年代前半だったか、大量高速の軍事展開を可狽ニするため、ペンタゴン(米国防総省: DOD) が行った軍用超大型輸送機の提案要求(RFP)は、その後に展開した大量高速の航空輸送時代の幕開けを告げるものとなった。この受注合戦でC5Aギャラクシーを提案したロッキード社に一敗地に塗れたボーイング社は、提案機種を装いを新たにB-747型機として民間市場へリリースした。軍需市場より民需市場のほうがはるかに大きいのだ。
負けるが勝ちということか、B-747型ジャンボ・ジェット機は、その後のボーイング社が大発展する礎となった。年間1000万人を超える日本人が海外へ出かけるという。あのサッカー試合の応援にも2万人に近いサポーターが、日本から気軽にジョホール・バル(マレーシア)へと出向く。こんな事が可狽ニなる切掛けを与えたのは、何とDODなのである。
そのDODが90年になり再び航空宇宙産業に対し、宇宙輸送が航空輸送のように、もっと気軽にならないかとして、次の3つの問いを投げかけ、フィージビリティ・スタディが行われた。
成果はいずれに対してもYesである。現在行われている多段式使い捨て型打ち上げ方式は、当然のことながら、見事に否定された。宇宙輸送システムは単段式(SSTO: Single Stage To Orbit)再使用型往還機(RVL: Reusable Launch Vehicle)が軸となり、オペレーションは航空輸送同様とすることがリコメンドされている。それも本格的に技術開発を始めれば、10年以内で可狽ナあるという。
DODの隠された意図は、何かといえば、グローバル・リーチである。本国の基地から一時間前後で軍事要員・物資を地球上の任意の地点へ輸送したいということなのであろう。沖縄を始め、海外の軍事基地を廃止・縮小するということなのであろうか。これこそが「常時駐留なき安全保障」の仕掛けである。ともかく軍需市場により質的な要求が課されても、量的には小さく、大きく成長する可柏ォがあるのは、この場合も民需市場であろう。
93〜95年にかけて、マクダネル・ダグラス社(後にボーイング社に吸収合併)のビル・ガーバッツらはDODの支援を得て垂直離陸垂直着陸型のデルター・クリッパー実験機(DC-X)により、RLVの技術的実現可柏ォを、無人ではあるが、世界に先駆け堂々と「やって見せた」のである。さすがアメリカと言うべきか、僅か10年で石を拾いに、わざわざ人間を月に派遣した国のことではある。久し振りに言おう、一点突破全面展開と。今後は事態の転回が速くなろう。
誰もが第二のロッキード社にはなりたくはない。政府によりトリガーされたとはいえ、RLVにビジネス・チャンスを感じ取った民間資本(ベンチャー・キャピタル)が、宇宙輸送に係る将来の民需市場へ向け走り出したということなのだ。キスラー社は既に一億ドルを超える民間資金を調達し、ロータリー・ロケット社やケリー社への民間投資は、それぞれ3,000万ドルを超えているという。政府保証なき技術開発に莫大な民間資金が流れる。日本では考えられないことだ。
アメリカでの高株価が背景にあるとはいえ、66個の通信衛星により世界的な電話通信網を確立しようとするモトローラ社のイリジウム計画は、47億ドルの費用のうち民間投資だけで30億ドルを調達している。その余は民間融資である。同じく48個の通信衛星によるローラル社のグローバル・スター・システムでは、26億ドルの費用に対し、10億ドルが投資されている。いずれもが低価格の宇宙輸送に期待を寄せ、そのために投資さえ行っている。
しかしながらキスラー社にしてもモトローラ社にしても、これら資金を調達してきた全てのケースで、これまでのところ実は収益がゼロなのである。低価格打ち上げ方式が実現していないのであるから、当然といえば当然である。技術に対する、あるいは技術開発迫ヘに対する適正な評価(技術アセスメント)ができて初めて、収益ゼロが続く技術開発に対し民間資金が投入されるのであろう。
日本では産業技術立国を標榜にしつつも、そのベースとなるべき金融システムが大蔵省の監督下にあって、技術評価迫ヘなきまま展開し、遂には現在の金融不況へと行き着いたが、この不況、本来は、先端技術開発による新産業創出なき不況とも呼ぶべきものである。日本でも高度技術社会が展開しているにもかかわらず、技術について無知な法学部や経済学部の出身者が経済社会を領導しているからであろう。
東京大学法学部の出身で大蔵事務次官を経験した東京大学先端科学技術研究センターの客員教授は、土地バブルが弾けて露呈した昨今の状況を鑑みるに、大蔵省当局や金融関係者に技術アセスメント迫ヘが欠けているのではないかという筆者の指摘に同意した。因みに、同教授は同センターで「技術アセスメント」分野を主宰している。
ともかく航空輸送並みの宇宙輸送をもたらすSSTO型RLV方式が実用化し、産業化する段階で、「こちらヒューストン」で代浮ウれる従前の大仕掛け高価格の宇宙輸送システムなどは、平家物語を援用すれば、「猛き人も遂には滅びぬ。偏に風の前の塵に同じ」となる。なぜなら、何しろ航空輸送の7割以上が実は観光客なのだ。観光客による需要増が航空運賃を低下させ、事業規模を拡大し、その結果はビジネス客も享受しているのである。航空産業も航空機産業も然りである。
宇宙輸送が航空輸送同様に観光客を運んではいけないのか。宇宙輸送が観光客による需要増に、さらにはそれに伴う低価格に依拠してはならないのか。それこそ「宇宙から地球を眺めて、地球環境問題を解決しよう」ではないのか。航空輸送も最初は特別な人のみが飛行機を運用していた。鳥のように大空を飛んでみたいという欲求からであろう。しかし、飛行の信頼性や安全性が向上するにつれ、ビジネス客が搭乗するようになり、遂には価格低下が実現し、大量の観光客が利用するようになったのである。
人々の宇宙旅行に関する潜在的な需要を顕在化し、技術的実現可柏ォを追求しているのが、日本ロケット協会を勧進元とする「観光丸」プロジェクトである。ここでも日本の技術陣は、世界に向け大いに気を吐いている。2009年には航空機に乗るような気分で、我々も宇宙観光旅行に行けるようになるのだ。ふと気がつけば、その時すでに宇宙輸送価格は100分の1以下になっている。
それまで何としても、パイロット・プラントであるSPS2000の運用経験を蓄積しておく必要がある。ドリームズ・カム・トゥルー。昨日の夢は、今日の可柏ォとなり、明日になればリアリティを獲得するのだから。新産業の創出や、それに伴う新規労働雇用の発生・拡大を失業対策事業それ自体に妨害させてはならない。
COP3に見られるような二酸化炭素削減を巡る世界的な挙動は対症療法でしかなく、結局のところ、化石燃料の使用量を減少するとか使用効率を高めるといった単に二酸化炭素削減の努力が求められているに過ぎない。努力している姿を見るのは楽しいし、努力するのは確かに美しいことではある。しかしこの努力の先に何が見えるのか。本当に必要なのは、あのサッカー・ゲーム同様結果を出すことではあるまいか。今我々に求められているのは原因療法である。ましてや原因療法であっての対症療法のはずである。
「途上国に光を」をスローガンとするSPS2000は、広範な問題を包摂する地球環境問題の本格的な解決に向けた原因療法としての宇宙太陽発電の実用化への第一歩なのである。途上国における電力エネルギー需要増に責任を負わねばならないのは、先進諸国の一員としてのわが国でもある。夜を明るくする「光を掲げる人々」の存在は、実は途上国の人口問題の解決にも寄与することになるが、ここでは論及の外である。
繰り返しになるが、今や宇宙太陽発電の実用化は、わが国が総力を挙げて主導的かつ先導的に強力に推進すべき課題である。それへの第一歩が、SPS2000の推進である。我々は何も恐れることなく、あのコロンブスが未知の大海原へ平然と乗り出したように、地球閉鎖系からの脱却に向け勇気を持って前進しなければならない。
そして地球に閉じた世界経済システムから宇宙に広がる新しい宇宙経済システムへと転回しなければならない。文字通り、経済システムにおける天動説から地動説へのコペルニクス的転回、つまり天動説経済から地動説経済へのコペルニクス的回転であり、これをもって、15〜16世紀に始まったコペルニクス的転回がようやくにして完結するのである。
このようにして、我々は我々の故郷「母なる地球」を大切に、その存続を前提に、低エントロピーの資源・エネルギーを宇宙より調達し、高エントロピーの資源・ネルギーを宇宙へ放出するという数多くの新しい産業を先端科学技術を媒体に創出し、あるいはこれらに関連する従前の産業を大規模に再編して、環境ファシズムを回避しつつ、巨大な地球人口に対応しようというのである。我々の隠された本当の意図・告}は、案外、この辺にあるといってよいのかもしれない。
本論文は、本年度末をもって東京大学を定年退職する筆者の、いわば「第二の卒業論文」である。畏友:長友信人・文部省宇宙科学研究所応用衛星工学系教授や同じく佐藤淳造・東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻教授には、いわば「指導教官」の役廻りを演じてもらった。またイギリスより迎えた東京大学先端科学技術研究センター松岡研究室客員研究員・パトリック・Q・コリンズ博士には、常日頃より「地球環境問題解決に向けた新たな日英同盟」としゃれ、本論文で展開される内容についても、検討の相手方を努めてもらった。この他、多くの方々のご援助があって、本論文は成立している。ここに記して、心からなる感謝の意を浮オたい。
と同時に本論文は、東京大学先端科学技術研究センター社会・科学技術相関大部門科学技術産業相関分野への惜別の辞であり、挽歌である。なぜなら、先端科学技術研究センターを告ャする大部門や分野は、8〜10年を目途にリストラクチャリングするという当初の計画通り、社会・科学技術相関大部門、あるいは科学技術産業相関分野は、最初の変則的・準備的な1年間を除けば、設立後10年経過という時期で、著者の退職とともに廃止されるからである。科学技術産業相関分野がその設立目的を助ェに達成し得たのかどうか、これについては、読者の批判を待つことにしたい。